旦過市場の奇跡、角打ち丸和前/小倉

旦過市場の奇跡、角打ち丸和前/小倉

大規模火災唯一の生き残り、北九州のハリー・ポッター

皆さんは旦過市場をご存じだろうか。

小倉にある市場で、北九州の台所とも呼ばれている。狭い小路に200店舗以上が軒を連ね、鮮魚・青果・精肉・惣菜などを扱う店が多いが、郷土料理の「じんだ煮」や鯨肉を扱う店もある。北九州市を代表する市場であり、福岡県内においては福岡市の柳橋連合市場と並び称される。

グルメ番組などでしばしば紹介され観光客も多く訪れるのだが、主婦をはじめとする一般消費者のみならず、料亭や料理店などの料理人も買い付けに訪れる。また、近年は旦過市場の川側とは反対側の裏手に位置する「新旦過横丁」(新旦過飲食街)と呼ばれる場所に、若者をターゲットにしたお洒落な飲食店が営業しており、週末の夜にはサラリーマンでごった返す盛況っぷりだ。

そんな人気の市場なのだが、そのあまりの過密っぷりに度々災害に見舞われている。1999年には丸和が火元となる火災が発生し、消火活動が困難を極め旦過市場の川側約1/3近く(計12店舗、約1,250平方メートル)を焼失した。 2009年7月の中国・九州北部豪雨、および2010年7月の豪雨では浸水の被害に見舞われた。

今年の4月には新旦過横丁付近から出火し、鎮火までに約65時間を要し焼損面積1,924平方km、42軒に延焼が及ぶ火災が発生。その後復興に向けて意気込んでいたのもつかの間、8月10日夜にも再び大規模な火災が発生、県内最古の映画館・小倉昭和館が消失するなどの被害を受けた。相次いで起きた火災で復興計画は一時中断、現在は焼け野原のようになってしまった状態で放置されている。

ちなみに二度目の火災で火元となった飲食店の店主は「凝固剤を入れた天ぷら油を加熱したまま放置し、煙が出たため水をかけて消火しようとしたら火が上がった」と語っている。おバカなのかな?

そんな悲劇の旦過市場なのだが、その中でたった一店舗だけなぜか焼けずに生き残った、ハリーポッターのような奇跡の店がある。

それがここ「丸和前ラーメン」だ。正式には当店は「角打ち丸和前」という名前で、「丸和前ラーメン」というのは週末に不定期出店する屋台のことを指すらしい。地元の人にこの辺りの呼称を間違えると紛争になるらしいのでお気をつけて。

当店の名前はすぐ目の前にあったスーパー「丸和」の前にあるのでこう名付けられたらしい。そのスーパーも運営主体の変更に伴い今ではゆめマートになってしまったのだが、「ゆめマ前ラーメン」には変えないらしいのでご安心を。

店のすぐ隣はこんな感じ。奥の方まで全部焼けてしまったそう。ここは市場であると同時にのんべえの聖地で、週末になると凄まじい盛況っぷりだったそうだが、今となっては静けさが耳に染みた。この中で一店舗だけ生き残っているのは本当に異様な光景でした。

メインメニューはラーメンとおにぎりとおでん。店頭で大きなお鍋にぐつぐつと煮たおでん鍋があり、そこから好きなものを選んでピックアップする昭和スタイル。地方に行くとたまにこういう店がありますが最高ですねえ。

濃度は若干薄めだが、脂が多めなのかな?独特のくさみのようなものを感じる。といっても、それが良い味を出している。塩気も強めなので、飲んだ後の〆にもってこいのスタイル。

うひょー。〆のおでんはたまらんなあ。

ご馳走さまでした。現地では非常に有名で多くの人がシメに利用する店なのですが、愛される理由が分かりました。この店が唯一残ったのも、地元民の愛が守ったのかもしれない。非常に縁起の良い店なので、ご利益に預かるためにも、また市場の復興を支援するためにも、皆さん是非通いましょう。飲んだ後の〆に利用するのがおすすめ。

ちなみに私は近くのヒブランという天然温泉の帰りに寄りました。見た目はかなり怪しいラブホにしか見えないのですが、サウナもあって露天で外気浴も気持ちよくできたので素晴らしい銭湯でした。こちらもおすすめ。ラインクーポンで破格の安さになりますよ。

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