小野田商店/中目黒

小野田商店/中目黒

圧倒的クオリティで舌をうならせる肉界の重鎮

中目黒南口出てすぐ、ぱっと見だと店かどうかすらわからない佇まいの超人気店「小野田商店」にやってきた。

当店は「肉山」創業者の光山さんがプロデュースした店で、彼が初めて開業した店舗「わ」というホルモン屋の常連だった小野田君が、「自分も店を出したいっす。」といって相談したことから始まった店である。彼のプロデュースする店はことごとく人気店となっており、肉業界では知らない者のいない伝説の人物である。詳しくはインタビュー記事をご覧いただきたいのだが、これがめちゃくちゃおもろい。考え方が斬新でかつ誠実なのだ。

面白いのが、2016年にパリでオープンした「L’ARCHESTE(ラルケスト)」。ここは知り合いのツテで紹介してもらい電話で10分から20分ほど話しただけでその場で出資を決め、会ったことすらないのに1,000万円を振り込んだらしい。明らかにぶっ飛んでいる。ちなみにその店は開店五カ月でミシュランを獲得している。

話は変わるが、当店を予約するのは一苦労だ。電話をすると、「一人最低3千円は食べてください」「席は二時間までです」「当日14時までに予約確認の電話をするので出てください。16時くらいまでに折り返しがなければ予約をキャンセルします」と、かなりルールが多く、しかも高圧的な態度。正直平日の真昼間に電話に出られる保証なんてないし、多くを求める割に支払いは現金のみと、正直気分の悪い体験である。

そこまでするなら値上げしたら?と思うのだが、上記記事にもあるように500円均一というのが当店の譲れないコンセプトであるためなかなか厳しいのであろう。私は気にしないのでカード決済を認めて600円均一にして欲しい。

入店。店内はカウンターとテーブル双方あり、長くやっているホルモン屋にしては清潔でニオイもクサくない。人気メニューは千円、通常メニューは500円均一と破格の値段設定だ。

何を食べようかと胸が高鳴ります。

まずは大好きなチャンジャ。こりこりとしっかりと食感のあるチャンジャで、これがべらぼうに旨い。これだけあればご飯が三杯はいけそうで、正直ビンに詰めて持ち帰りたい。

センマイ刺し。奥の酢味噌につけて食べるのだが、それ単体ではあっさりとしているセンマイのコリコリとした食感と、酢味噌の甘めの酸味がよく絡む。

もろ!きゅう。大ぶりのキュウリを真っ二つにし、特製の肉みそにつけてそのまま豪快に食べる。先ほどまでの前菜たちとは打って変わり、素材の良さを前面に出した演出だが、とにかくこの肉みそが美味い。居酒屋で出てくるような適当なそれではなく、きちんと店で作っているのだろう。ここまでで確信した、当店は決してネームバリュー先行型ではなく足腰のしっかりとした店である。

ここからお肉に移ります。まずは厚切り牛タン。本日唯一頼んだ千円のお皿です。

右から舌の先~中ほど~根元に近い部分の三段構成。何も言われなければ意識しませんが、こう言われると一つ一つ味わって食べます。些細なことですが、肉に注目させる導線が素晴らしく、また安い中にもロイヤルティ感じる演出です。

なるほど部位ごとに脂のノリが異なっており、食べ進めるのが非常に楽しい一皿でした。あっさりとした右側から食べるのがおすすめ。

当店の人気メニュー ハチノス。ひっくり返すたびにこまめにタレをつけつつカリッとするまで焼くのがおすすめだそう。言われるがままに焼いたのですが、非常に美味しいですね。カリッとしつつフワッとした食感がクセになります。ハチノスはタレのイメージでしたが、塩も悪くないなあ。カウンター越しの目の前に店員さんが居てくれるので、ふいにアドバイスをくれるのも良き。

てっちゃん。かなり大ぶり!クサみも一切なくシンプルながら素晴らしい一皿でした。

ハラミ。ホルモン焼き肉の王道ですが、ここまでのお肉たちがすべて本当にクサくなくてびっくりしています。安いのにすごいなあと心の底から感心。

牛ハツ。焼き鳥でおなじみ鶏の心臓は非常に小さいのですが、さすが牛の心臓は大きいです。表面をちょい焼きでどうぞとのこと。カリッと表面を焼くと、ジワリと火の通った内部との温度差で旨味がじゅわ~っと口の中に広がります。本日一番のお皿。ていうかこれだけのポーションで500円ってやばくないか。繰り返しのようですが全然クサくない。

アブラでもたれた口の中をまるごとピーマンで浄化。このまま焼いて豪快に丸ごとかぶりつきます。

〆はスープ茶漬けを二人でシェア。五臓六腑に染み渡る、語るまでもない旨さ。本当は当店のスペシャリテであるカレーで〆たい気持ちもありましたが、本日売切れだったので断念。ただ、以前来たときに食べた記憶と照らし合わせると茶漬けの方が〆に相応しいかもしれません。

予約時の体験が悪く、冒頭でいろいろ言ってしまいましたが、クオリティで黙らされました。一見無愛想に見える店員さんも、基本的には距離感を保ちつつも要所要所でアドバイスをくれるバランス感が良く、気持ちよく食事に集中することができました。

これだけ食べてかつ二杯ずつ飲んで二人でお会計は8千円ちょっと。コスパ良すぎ。人気の理由が分かる一夜でした。大人数での飲み会には向かないですが、二人でのデートや四人くらいまでの友人との訪問がおすすめ。また来ます。

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