水のや/門前仲町

水のや/門前仲町

一般には流通しない珍素材に出会える至高のイタリアン

新年明けましておめでとうございます。皆さんにとって昨年はどんな一年だったでしょうか?

コロナに始まりコロナで終わる、そして未だコロナは続く。今までの生活がガラリと変わった方も多いと思います。私自身も、きっかけはコロナとは無関係ではありますが仕事環境がガラリと変わり、新しいチャレンジをすることになりました。また、当サイト「Noolog(ヌーログ)」を立ち上げられたことも大きな一歩です。

特に飲食店経営の方々は大変なことが多いかと思いますが、当サイトを通じてそういった方々に少しでもお力添えできれば幸いです。美味しい料理を提供してくださる飲食店の方々や読者の皆さまに感謝をしながら、今年もマイペースに更新していこうと思っていますので、どうか暖かく見守ってやってください。

さて、年初一発目の記事ということで何を書こうかと思案したのですが、特に特別なことが思い浮かびませんでした。本当は年末に「今年のレストラン/ラーメンベスト3」的な記事を書こうかとも思ったのですが、まだ執筆を始めたばかりで記事数が少なく、サイトにのせていないレストランが多数あることを理由に断念しました。気分が乗れば今年の年末にはそういった記事を書こうと思いますので楽しみにしておいてください。

というわけで(?)、今年一発目の記事は昨年伺った店の中でも、私の最も思い入れのある店のひとつを紹介しようと思います。

門前仲町にある「水のや」です。

マスターはまさに料理人を地で行くような方で、素材選びからその活かし方まで凄まじい熱量を注いでおられます。そのあまりの情熱に、一般ルートでは絶対にお目にかかれない珍味に出会うことができます。

料理人魂を証明するエピソードを共有します。今では超有名になった「中洞(なかほら)牧場」。牛乳やソフトクリーム・チーズが非常に美味しいことで有名なのですが、狭い牛舎で丸々と肥やされながら育てられた食用牛と違い、乳牛のお肉は放牧されて育つため筋肉が発達するので、「硬くて美味しくない」といった印象が先行しており、基本的に身内で消費され一般には流通しません。ましてや当牧場の乳牛のお肉なんてなかなかお目にかかれない代物です。ですが、なんとマスターが泊まり込みで口説き落として当店に卸してくれるようになったそうです。

「中洞牧場の肉が入ったから食べに来なよ」と言って下さったので私も食べたのですが、非常にヘルシーな食べ応えで、それでいて全く硬くなく、きちんと育てられた牛はこんなに美味いんだなと感動しました。

もう一つ紹介しよう。ジビエで有名な鳥取県の猟師と個人的に仲良くなったそうで、曰く、鹿を仕留めた際に稀にお腹に子どもが入っているそうなのですが、「血なまぐさそう」と敬遠されるためこれも一般には出回りません。が、腹子はまだ歩いたこともないため筋肉が一切発達しておらず、ぷるぷるの脂が楽しめる珍味だそう。例のごとく「鹿の腹子仕入れてきたんだけど食べてみる?相当なグルメな人でもこれ食べたことある人はほとんどいないと思うよ」と言われたので食べてみることに。

鹿の腹子の実物です。

シンプルに焼きで提供してくださりました。本当に身がぷりぷりで、何も言わず出されたら絶対に鹿肉とは答えられません。脂もヘルシーかつピュアで、病みつきになる味でした。

そんな「水のや」ですが、何よりも野菜の活かし方が神がかっており、数年前に初めて伺った際に心をつかまれて以来何度も通っています。

本日のメニュー。今回は約一年ぶりの訪問です。

仕入れる素材によってメニューが変わるので、行く度に何があるのかワクワクします。ちなみにメニューにないものでも、「○○と××でなにかつまみでも作ってよ」「今日はおまかせで」とかいう無茶ぶりにもこたえてくれます。

今回はおまかせ5,000円コースとドリンクを注文しました。前菜5皿と肉・パスタがついてこの値段です。神過ぎませんか。

ノンアルコールスパークリングと

りんごジュース。りんごの自然でフレッシュな甘みがガツンと来る、非常に美味しいりんごジュースです。

前菜一皿目、栗のフリット渋皮付き ライ麦と珈琲のパウダー。栗の渋さと甘み、珈琲のほのかな苦みが見事に調和しておりこれが本当に美味しかった。本当に素材の活かし方がうまい。

前菜一皿目、生桜エビと二色の大根。桜エビの甘みが際立っています。

前菜二皿目。秋野菜のテッリーナ、当店の看板メニューです。絶妙な塩味が、野菜本来の味を最大限引き出しています。どの素材をとっても素晴らしく、こんなに美味しい野菜のテッリーナは食べたことがありません。当店に伺うなら絶対に食べて欲しい一皿です。ビジュアルも綺麗なのでインスタにも映えます。

旬の秋刀魚。塩とオリーブ?をまぶし軽く炙っています。半生の新食感で、炙られた脂が食欲をそそります。いざ出されてみるとシンプルなようですが、こういった演出はなかなか珍しいです。秋刀魚の旨味を存分に引き出しており、これこそまさに究極のサンマ調理法なのでは、と思ってしまいました。今度家でも作ってみよう。

一夜干しの牡蠣のフリット。濃厚な牡蠣の旨味と表面にまぶされた柚子胡椒が最高のコンビを結成。シンプルに旨い一皿。

白子のグラタン。牡蠣に続き痛風メニューです。寒い冬だから許しt…

八幡平ポークをシンプルに焼きで。非常にあっさりとした脂と柔らかさが印象的です。上にのった野菜たちも絶妙にチューニングされており、意識して食べなければ気付けない繊細な仕事ぶりが伺えました。

牛ハラミのラグーソース。ホロホロの牛ハラミと玉ねぎの甘みがすごい。麺は細めで、コース終盤でもちゅるりといけます。

いやあ、やはりいつ行っても最高ですね。とにかく野菜をはじめ素材の活かし方が凄まじく上手いです。「新鮮野菜はそのまま食べるのがうまい」というのは幻想で、やはりそれぞれの食材に合った、素材の良さを最大限活かす調理法が存在するんだな、というのを分からせてくれたお店です。

こういう店を行きつけにして、パートナーを連れていけるような大人、カッコ良いと思います。皆さんも是非伺ってみてください、必ず虜になるはずです。

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