三年ぶり開催のほおずき市に行ってきた/浅草
一生分の功徳が得られる江戸の風物詩
私が東京に初めて来て、数年経った頃ふと気づいたことがある。大規模なものから小規模なものまで、東京では非常に祭りが多いのだ。しかも、江戸時代・はたまたそれより昔から続いている歴史あるものも多い。各地のお祭りや歴史に触れることが大好きな私にとって東京は非常に楽しいところなのだが、最近はコロナ禍で数多くのお祭りが中止になりめっきりお祭りに触れる機会も少なくなった。
ただ、今年は違う。久しぶりに行動制限のない夏がやってきて、三年ぶりにお祭りを開催する自治体などが増えているのだ。そんな中、ずっと行きたいと思っていた「鬼灯市(ほおずき市)」が今年三年ぶりに開催されるという噂を聞きつけ行くことに決めた。
ほおずき市について簡単に触れておこう。ほおずき市とは、7月9、10の両日、浅草寺で行われるホオズキの市のことで、赤く実りかけたホオズキの鉢植えが境内に並べられ、参拝客に販売される。
ほおずき市は、観音信仰と関連が深い。古来、毎月18日は「仏様と特別なご縁のある日」という意味を込めて「縁日」と呼ばれ、この日に参拝すると、大きな功徳があるとされている。だが室町時代以降、これとは別に「功徳日」という縁日が毎月1回新たに設けられ、この日の参拝は何百日、何千日分ものお参りに相当すると言われてきた。特に7月10日は、4万6千日分の参拝効果があるとされており、江戸時代ごろから参拝が盛んになっていった。また、前日の9日から意気込んだ人々が寺を訪れるようになったことから、9、10日の2日間が4万6千日の縁日とみなされるようになった。
このような大きな縁日には、必ずと言っていいほど参拝客目当ての市が立つ。ほおずき市もそんな市の1つだが、ホオズキはもともと、薬草として港区にある愛宕(あたご)神社の千日参りの縁日で売られていた。ホオズキを煎じてのむと、子どものかんの虫や女性の癪(しゃく)によく効くと言われており、これを参拝土産に持ち帰るのが通例だった。やがてこれが浅草寺に波及し、愛宕神社をしのぐ活況を呈するようになったのがいまのほおずき市だ。千日参りと4万6千日の参拝とが同じような意味を持っていたことや、明治以前の日本では神仏習合の信仰が一般的だったことが、このような市が神社から寺へとすんなり伝わった背景だと考えられている。
ほおずき市は、浅草寺のほか、都内各地の寺社で開かれているが、浅草寺の市が最も有名。毎年200もの露店が境内に軒を連ね、威勢のよいかけ声とともにホオズキの鉢が売られる。ちょうど梅雨が終わりに近づく時期であり、鉢に付けられた風鈴が涼しげに鳴ることから、江戸の夏の風物詩と言われている。
毎年決まって7月の9、10日に開催ということもあり、コロナ禍以前も平日開催ばかりだったためなかなか訪れることができていなかったのだが、今年はなんと三年ぶりかつ土日開催という神スケジュール。
本当は10日に行きたかったのですが、予定が合わず9日に行くことに。凄まじい混雑が予想されたため、朝の9時ごろめがけて行きました。結構朝早くからやっているのもほおずき市の特徴です。初日は夜も遅くまでやっており、二日目は売切れの店から閉めていくそう。
ホオズキは、淡い黄色の花を6月から7月頃に咲かせる。 花の咲いた後に六角状の萼(がく)の部分が発達して果実を包み袋状になり、熟すとオレンジ色になるのだ。昔はこれを使って小さな子供たちが遊んでいたらしい。これが自然の産物とは思えないくらい立派できれいだ。
基本的にホオズキは風鈴と一緒に売られている。
こんな感じで境内でたくさんのホオズキの鉢が風鈴とともに売られている。風鈴の音が心地良い。
露店もたくさんだ。9時台だとまだ開店準備をしている店が多かったが、10時を回ると客の賑わいも増してきた。
どれを頼もうかめちゃくちゃに悩んだ末購入した広島焼きと、
かき氷。シロップはセルフサービスの店が多く、私はラムネ・いちご・ぶどうの三種盛り。露店で食べるかき氷ってなんでこんなに美味いんだろう。。。
それらを柳の下で座って頂く。すでにめちゃくちゃに暑い日が続くが、こうやって柳の下にいると体感温度が5度ほど下がったように感じる。景色も素晴らしい。
本堂も特別仕様になっており、「四万六千日」と「雷除」の提灯がぶら下がっている。四万六千日については先ほど述べたとおりだが、「雷除」についても説明しておこう。
昔は四万六千日の縁日に赤とうもろこしを売る屋台もあった。これは赤とうもろこしが落雷除けのお守りになる由の民間信仰により、文化年間(1804〜18)頃に境内で売られるようになったという。ところが明治初期に、不作によって赤とうもろこしが出回らないことがあった。これに困ったご信徒が浅草寺に雷除けのお守りを求めた縁から、浅草寺では竹串に挟んだ三角形の守護札を授与するようになった。これが今も四万六千日に授与されている雷除札である。
これだ。最近は私も災難が多いため、右側の災難除守を購入した。中を開くと雷除の三角形の守護札が入っておりこれが結構かわいくて良い感じ。これらのお守りもほおずき市での限定品だ。
また、御朱印も当日限定のものがもらえる。コロナ禍で増えたようなあらかじめ書いてある紙を渡す方式ではなく、きちんとその場で御朱印帳に直接書いてもらえる。二年前に京都の仁和寺で購入した御朱印帳だが、集めるのが非常に楽しいので皆さんにもぜひおすすめしたい。
御朱印とともに挟んであったありがたい説教。カジュアルでエンタメ化した御朱印集めだが、いま一度その本来の意義を見つめ返してほしいという趣旨なのだろう。今どきこういうことをきちんと言えるのは素晴らしいことだと思う。
かくゆう私は写経などはしたことがないが、趣味の読書の一環でメルカリで200円で購入した「和英対照仏教聖典」をすべて読んでいるため、そんじょそこらのカジュアル参拝者とは一線を画していると自負をしている。しかし、こういった感情はある種の煩悩であり傲慢の証であろう。そんなことをつらつらと考えながらありがたい気持ちに浸ったものである。
ちなみに当日の御朱印は凄まじい行列に並ぶ羽目になるので、私のように朝早い時間に行った方が良い。私は10分程で受け取ることができたラッキーボーイだった。
■ カフェ ムルソー/浅草
https://noolog.info/cafe-meursault-asakusa/
ほおずき市のあとは付近をぶらぶらし、商店街で甚平を購入したり、隅田川沿いの素晴らしい眺めのカフェでゆっくりとケーキを頂いた。
少し前に乗った観光クルーズ船「エメラルダス」も見えました。
朝早くから活動したが、なかなか素晴らしい一日になった。実は奥の深い東京という街ですが、こうやって少しずつその歴史に触れていくのは非常に楽しいですね。今夏は東京巡りを色々と考えているのでまた皆さんに共有できたらと思っています。