すなば珈琲、お前まじか。/鳥取

すなば珈琲、お前まじか。/鳥取

鳥取イチのがっかりスポット

皆さんは鳥取県と聞いて何を思い浮かべるだろうか?

初級者であればだれもが知っている鳥取砂丘、中級者あたりになると中国地方一高い山である大山(だいせん)や水木茂ロード・名探偵コナンの聖地大栄なんかを答える人もいるだろう。実は他にも浦富海岸や私の大好きな唯一無二の山奥の山菜料理屋「みたき園」など隠れた魅力はたくさんあるのだが、もう一つ忘れてはならない有名スポットがある。

そう、すなば珈琲だ。鳥取県はスタバが最後までできなかった都道府県で、平井知事の「鳥取にはスタバはないけど、日本一のスナバ(鳥取砂丘)がある」という発言を期に日本で唯一スタバのない県としてPRしていこうというプロジェクトが発足。そしてできたのがここ「すなば珈琲」だ。

すなば珈琲の第一号店が鳥取駅前できたのが2014.4.22で、その後いつの間にかスタバの鳥取県への出店が決まり、約一年後の2015.5.23に鳥取駅のすぐ隣に鳥取県第一号店がオープン。日本最後のピースが埋まるとのことで瞬く間に話題になり、オープン初日にはありえない行列ができたらしく、前日から並んでいる人までいたそう。そしてなんとこのスタバは開店初日売上日本一の大記録を達成している。日本一人口の少ない県で日販日本一が出るとは、なんとも皮肉な話だ。

またスタバ開店当時、すなば珈琲は「黒船来襲」と銘打ちスタバ開店当初に「大ピンチキャンペーン」を実施。自虐ネタで知事まで巻き込んだプロモーションはあれよあれよという間に日本全国にとどろき、ついには私の耳にまで入ってきた。それ以来是非すなば珈琲に行ってみたいと思っていたのだが、ついにその日がやってきた。

緊張の瞬間である。

…あれ?なんか思った雰囲気と違うぞ。内装はコメダのような落ち着きを重視した家庭的な雰囲気でもなく、スタバのような欧米に媚びたデザインでもない。店内の中央にはマスクをしたマツコ・デラックスらしきの謎のオブジェクトがあり、入り口ではこれといった特徴のない物販をしている。

メ、メニューを見てみよう。こちらはカツカレーからサンドイッチ・ホットドック、ステーキ定食や玉子かけご飯などなんでもありの大怪獣バトルの様相を呈している。

何を頼めばいいのかわからなかったのでとりあえず珈琲を頼んでみた。

私のこの8年にわたる期待感を返して欲しい。とりあえずこの喫茶店のコンセプトを詰めた担当者を今すぐこの場に呼び出して説教してやりたい。すなば珈琲は次世代の鳥取の観光名所になってもおかしくないくらいの知名度・ポテンシャルを持っているのに、これではまるで鳥取の面汚しだ。

地元の人は特に通う理由もないだろうし、県外の観光客からしたらとびきりのがっかりスポットだろう。

特に内装とメニューはどうにかした方が良い。コメダ路線をいくのか、スタバ路線をいくのか、はたまた新しい形のカフェを創り上げるのか。選択肢は色々あれど、担当者のこだわりが一切垣間見えない。「スタバを意識している以上スタバのような路線でいくのはやめよう、もっと地元に根付いた雰囲気が出したい」という担当者たちの無難でつまらない議論が頭に浮かんだ。

なんでもアリは一番ナシ、というのは私の人生の哲学だ。

また、いくつか県内に店舗があるようなのだが内装に一貫性がまるでない。開業資金をケチるために居抜きで使用したんだろうというのが透けて見える。それにしてもテナントの選定から内装の作り込み・メニューの設定など何から何までてんでダメだ。これが県の命運をかけた一大プロジェクトという自負が担当者には一切ないのであろう。ここまでセンスとこだわりがないのであれば、スタバの担当者を一人呼んで、全て任せてしまった方がまだましだ。

これまでの記事で読者の方は薄々お気づきだろうが、私は鳥取県が大好きだ。でもすなば珈琲、お前は違う。

素晴らしい思い出と、やるせない気持ち。両方を噛みしめ複雑な思いで私は帰路についた。

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