マッチングアプリで秀徳 2号店/築地

マッチングアプリで秀徳 2号店/築地

~魚が紡ぐストーリー~本格江戸前鮨の入門編

築地駅から徒歩5分。場外市場を代表する店のひとつ。

本店のほかに5店舗構えている人気店でその中でも最も高い評価を得ているのがこの2号店です。江戸前鮨がリーズナブルな値段で食べられます。

お店は二階にあり、高級感あふれる内装になっています。店内は意外と広く、座敷席も合わせると42席もあるそう。友人やデートだけでなく、家族や会食での利用もできそう。予約が取りやすいのもgood。

今回は友人と最も高い11,000円のコースを注文。

前菜。煮タコがふっくらしていてとても印象に残る味だった。

刺身三種盛り(真鯛・鯖・まぐろ)、うに、毛蟹。それぞれ味がしっかりしているだけでなくポーションも多くちょっと驚いた。

特に毛ガニの香りが強くうまかった。

それにしてもこの値段でこの量とクオリティはなかなか良いんじゃないか。もしかしたらこの店はただモノではないのかもしれない、そんな予感がしてきた。

普通の茶碗蒸し。

白子の天ぷら。濃厚クリーミーでうまい。やはり白子はいつ食べてもうまいのう。

可愛い湯のみ。

これから握りに入ろうとしていた矢先である。何やらコの字カウンターの対極に20代後半であろう美男美女カップルがやってきた。会話内容から察するにマッチングアプリで今日知り合いましたといった感じか。

石川のあじ。当店の鮨はよくある酢飯に刺身をのせた刺身丼的なそれではなく、しっかりと最低限の仕事が加えられている。冒頭で感じた直感は間違っていなかったようだ。この店の鮨はうまい。

自己紹介の後、とりあえず当たり障りない会話をしている美男美女。女性は普通のOL、男性は証券会社勤務(会話内容的にたぶん投資銀行)のハイスぺ君のようだ。

投資銀行と言えば先日結婚を発表した石原さとみさんのお相手も投資銀行勤務の方らしいですね。どうりで女性の食いつきが良いのも頷ける。完全にロックオンモードだ。

仙崎の白いか。うーん、うまい。表面はねっとりとろとろ、噛み応えもある。小さい頃は回転すしに行っても絶対にいかなんて頼まなかったが、大人になっていかが大好きになった。わいも年を取ったなあ。

「趣味は何?休日とか何してるの?」女性が聞いた。「うーん、休日は基本映画観たりごろごろしてることが多いかな。それか勉強しているよ」特に職業自慢をするわけでもなく実に謙虚でさわやかな男性だ。この人を選んでおけば間違いないだろうといった第一印象を見受ける。

大分のしまあじ。やはりしまあじは高級鮨の定番であるだけあってうまいですねえ。脂の乗り具合が絶妙。

すると(映画の内容を聞くわけでもなく)男性の返答をオールスルーし即座に女性が切り返す。「へえ、そうなんだ。私の趣味はね、株式投資なの。」何やら香ばしい香りがしてきた。

対馬ののどぐろの炙り。香りの正体はどうやら炙ったのどぐろだったようだ。一安心である。やはりのどぐろは刺身よりも焼きを入れるのが王道ですね。脂がうまいうまい。

「日本株はあんまり儲からないから興味ないかな。最近は専ら米国株だね。」どうやら女性はアピールモードに入ったようである。趣味を先に聞いたのも完全に用意していた流れだろう。それにしても証券会社勤務者に対してこのアピールはなかなか勇気のある女性である。

長崎本鮪の赤身。基本に忠実でシンプルにうまいですねえ。

会話内容から察するに女性の投資家としてのレベルはポケモンでいえばLv.5くらいだろう。しかし男性は誠実だ。「ふーん、そうなんだ。どんな株がおすすめかな?俺、全然分かんないからさ。ハハッ」男性は馬鹿にするわけでもなく当たり障りのない、それでいて相手のプライドを傷つけないよう会話をコントロールしている。そしてそれに気付かずアピールを続ける女性。

三陸の石垣貝。これがめちゃめちゃうまい。後述の白海老と悩んで僅差で本日一番の皿。

それにしても非常に残念な女性だ。見た目は非常に清楚で端正な顔立ちで3歩歩けば5人の男が引っかかるくらいにはモテるだろう。普通にしていれば賢そうにも見える。しかし、どんな美女でも身の丈に合わないこのあからさまなアピールはどうだろう。ハイスぺ男子ならなおさらこういうアピールに敏感に気づくはずだ。何やら雲行きが怪しくなってきた。

北海道の北寄貝。軽く煮付けてあるのかふっくら甘くて非常にうまい。貝ってうまいんだなあ。

しかし男とは愚かな生き物である。自分に対して熱烈にアピールしてくる美女の前で理性的な判断をできる男はほとんどいない。当の男性も女性にメロメロのようだ。一見クールにふるまっているがあまりのイージーゲームさと今夜の展開を想像して心中穏やかでないのが顔面から微かにあふれてしまっている。

富山の白海老。甘い。シンプルに旨いとしか感想が出てこない。

だが女性は自分のアピールに必死でそれには気付いていないようだ。二人は終始仲よさそうに鮨を平らげて出ていった。おそらくこのまま何もなければ二人は付き合うのだろう。またひとつこの世に幸せが生まれるシーンを目の前にし、男二人で幸せの余韻にしばし浸った。

長崎のとろ。脂がジューシーで手に載せたらすぐに溶けてしまいそう。

しかし、女性のその後が心配である。なぜなら男は付き合ったとたん急に理性が復活するからだ。「美人には三日で飽きる」というが私は信じていない。美人はいつまでたっても美人である。人と人の付き合いである以上、何よりも大事なのは心ではないか。「心のない美人には三発やって冷める」というのがこの世の真理だろう。私はこのカップルの幸せを心から願っている。

非常に話が長くなったため以下早送り。

北海道のうに

対馬の穴子

いくら

東京で江戸前鮨をたらふく食べて11,000円という信じられないコスパである。ネタもしっかりしているし仕込みも最低限だが非常に丁寧だ。高級鮨は高いし予約もなかなか取れないので、江戸前鮨の入門編として最適だろう。

なにより鮨はカウンターで食べるため他の客との距離が近い。客の数だけ生まれるストーリーに触れられる(かも)のも鮨屋の魅力のひとつだ。

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