エーグルドゥースの個人的ベスト3。/目白
- 2022.10.23
- スイーツ・カフェ・バー 池袋・目白・江戸川橋 雑談・小ネタ
文句なしで日本一のパティスリー。
私は自他ともに認める甘党で、都内の人気パティスリーには基本すべて通ってきました。当サイトで紹介したものだけでも、赤坂はニューオータニのサツキ・現在一時閉店中のイデミスギノ・大山のブラックホース マテリエルなど、どこも超人気のパティスリーばかりです。
そんな名だたるパティスリーの中でも私が一番に推しているパティスリーが、目白にある「AIGRE DOUCE(エーグルドゥース)」だ。ここはあまりの人気ぶりに毎度30分は並ぶ大行列が四六時中できているため、なかなか行くまでの決心がつかないのだが、年に4~5回は通うようにしている。
香りや酸味を上手く使うケーキが多く、それぞれの構成の調和が自然に噛み合うケーキが多い。ザ・古典的なケーキは少なくフランス菓子を下敷きにするタイプだが、ケーキを組み立てる技術が秀でている+比較的構成意図がわかりやすいのが私好みの所以だ。
しかもそれでいて価格はほとんど600円前後と高コスパを通り越して最高レベル。
現在当店の食べログ評価は3.9点台の後半で、前述したパティスリーだけでなくここでは紹介していない業界の重鎮などにももれなく足を運んだのだが、どこの店も3.9点前後と点数上は大差ない。しかしあえて声を大にして言いたいのだが、明らかに当店の点数は過小評価されているように思う。そのくらいパティスリー界隈では頭三個分ほど飛び抜けた存在であるように思う。
そんなエーグルドゥースのオーナーシェフの寺井さんの談をいくつか紹介しよう。
「チョコレートの細工などでお菓子を飾ることはあまりしません。それよりもお菓子自体に手間とコストをかけたい。」
「お菓子屋さんは「XXのメーカーの△△が良いらしい」といったように耳や目から情報を得ることが多いのですが、僕はレストランを経験することで味から選ぶようになりました。自分で食べてみて美味しいと思うものを選択する。例えば、いちごのピューレ。さすがに国産は使いませんが、フランスの高級メーカーのピューレを使うんだったら、価格帯を抑えたメーカーのホールのものを自分でミキサーにかけて使う。その方が、金額も安いし美味しいのです。」
「アプリコットのムースを作る際に、風味を強くしようとピューレの量を増やすと食感が変わってくる。じゃあどうするかと言うと、ドライアプリコットをペースト状にしてピューレに加え、強い味のピューレを作ります。そうすると、風味と食感の両方を良い状態に作り上げることが出来る。メインの味をまわりでどう補足していくか、またどう強調するのか、これは常に考えていますね。」
これを聞くだけでも、お菓子作りへの並々ならぬこだわりが伝わるだろう。もともとのセンスもずば抜けているのだが、それを支える努力や、物事への姿勢・考え方も一味違う。そういった積み重ねが当店の尋常じゃない美味しさを支えている。
そんな大好きなエーグルドゥースなのだが、長年通い詰めて撮りだめしていたケーキたちの一部を一度ここでランキング形式で紹介しておこうと思う。先に断っておくが、あくまでこれは私個人の好みである。
■ 第三位:フレジェ
構成や見た目は所謂フレジェと同じようで、随所で当店ならではのこだわりが詰まっている。まずスポンジ。しっとりとした粗めのスポンジ生地は、その見た目に反し非常にしっとりとした舌触りで、上層のイチゴのジャムとの相性が抜群に良い。
また、大粒のイチゴがこれでもかと詰められており、クリームはバターというよりカスタードに近い、甘くそれでいて全くくどくない天性の仕事がなされている。このクリームや生地の甘さと生地のしっとり感・それでいてくどくない究極のバランス感はエーグルドゥースならではの個性であり、他店では決してまねできない賜物であるように思う。
■ 第二位:グリオット・フロマージュ
当店の縁の下の力持ち的存在である、神の所業のベイクドチーズケーキ。
私が選ぶ文句なしで日本一のチーズケーキです。しっとりとした甘めのチーズ層は、口当たりが非常にきめ細かく、ねっとりとした食感のチーズケーキが口の中で一瞬で溶けていき、チーズの芳醇な香りが口の中いっぱいに広がっていく感じがたまらない。それでいてやはりまったくくどくないのである。
また、下層のチェリーのコンポートと、かなり薄めのボトム生地はもはや感動の域を超えたバランス感覚のなせる業である。チーズ層単体でも感動するレベルで美味しいのだが、チェリー層が本当に良いアクセントになっている。皆さんも是非その舌で体感していただきたい。
■ 第一位:シャンティ・フレーズ
文句なしの圧倒的第一位、当店の看板メニュー。いわゆるショートケーキなのだが、さすが当店のスペシャリテである、他のケーキは割とオーソドックスを地でいくビジュアルなのだが、ショートケーキだけは並々ならぬこだわりがそのビジュアルからも垣間見られる。
とにかく一番感動するのはそのスポンジだ。口に入れた瞬間に溶けてなくなり、その香りが口の中に広がっていく。比較的軽めではあるのだが、必要な食感は出しているため食べ応えも十分にある。また、ジャムとクリームもそれ単体で美味しいばかりか、この神のスポンジ・ジャム・クリームが合わさるともう手のつけようがないのだ、とにかくそのバランス感覚には脱帽せざるをえない。チョコケーキ派だった私にショートケーキの魅力を教えてくれたのがこのシャンティ・フレーズだ。
ケーキはある一線を越えると本当に美味しさの違いが分かりにくくなる。特にチョコ系のケーキなんかは違いを作るのが難しく、どうしても細工に頼ったビジュアル重視に陥りやすいのだが、ショートケーキとなるとその違いは青天井だ。本当に美味しいケーキ屋はショートケーキが一番分かりやすい。是非皆さんもケーキを横比較する際はまずはショートケーキを食べてみて欲しい。
ベスト3を公開したところで、他にも撮りためたケーキたちを足早に紹介していく。
ガナッシュ・トリュフ。こちらは三位に入れるか非常に迷ったチョコケーキですが、やはりチョコ系統のケーキで圧倒的個性を出すのは難しいのでしょうか、見方によってはやや凡庸ともとれるので僅差で落選。甘くもありビターな超濃厚チョコのオンパレードで、チョコ好きの方にはたまらないでしょう。
ボトムのショコラサブレがたまらないアクセントになっており、チョコの甘い後味を洋酒で上手く切っているのはさすが。コニャックが結構強く効いているので、下戸の私が食べ終わる頃には軽く体が火照っていました。
ド定番のフロマージュ・クリュ。個人的な好みでレアチーズよりもベイクドチーズ派なので、第二位にはベイクドを入れましたが、こちらも根強い人気のあるケーキです。濃厚しっとりとしたレアチーズとレモンのさっぱりとした苦みと酸味がチーズの香りを引き立てます。
サヴァラン・オー・ラム。こちらは変わり種で、これでもかというほどひたひたのラム酒に浸かっている。ブリオッシュ生地の柔らかさとシロップのひたひた感が絶妙で、クリームにはコクがある。バニラの香りと合わさりクリーム自体の味は強め。個人的にかなり珍しいというか、攻めたケーキだと思っていて、ここまでひたひたになるまでラム酒を使用してなお美味しくまとめ上げるのは、さすがの腕前である。
ちなみに焼き菓子も非常に美味しいです。特にお気に入りはマカロン。明らかに他の店とは一線を画す個性・ビジュアルと美味しさなので皆さんも是非。お茶の間に最適です。
これ以外にも、秋冬限定のモンブランやフォレノワール・ア・ラ・ピスターシュなど目白押しのアイテムは数多くあるのだが、写真を失念しており断念。またどうせ通うので、その際にまた紹介します。
変わり種がイマイチだったり、前に進もうとしすぎて明らかに劣化したり全く進歩しない店も多いですが、当店はとにかくどのケーキをとっても安定感が凄く、進歩的でありながらキチンとした足腰があるので着実に良い方向に進化しています。
当店の今後が楽しみである。あでゅー。