中華そば こびき/岡山市
フレンチの経験を持つ本格ラーメン店
野暮用で鳥取に行く機会があったのですが、凄まじい強風のため予約していた東京→鳥取行きの飛行機が前日に止まり、さらに代替路となる岡山や大阪からの特急も当日になってすべて止まってしまうというトラブルが発生。
完全陸の孤島状態である。そこで、朝の四時に起きてぎりぎり動いていた新幹線で岡山まで行き、そこからレンタカーで鳥取まで向かうことに。
というわけではるばる岡山までやってきた。
本日は「晴れの国」も顔負けの悪天候である。
岡山といえば晴れの国と呼ばれるくらいには晴れの日が多く、中国山地で隔てられた中国地方の南側(主に岡山と広島)を「山陽」と呼んでいる。逆に北側はというと、ご想像の通り「山陰」と呼ばれ、今回のトラブルからお察しの通り鳥取や島根は雨の日が多いのである。
それにしても「山陰」ってネーミングはなかなかひどくないかと思案してしまう。w
トイレでもない普通の地下通路に一枚の張り紙が。
こんなところで小はともかく、大をする人がいるのだろうか。
そんなこんなでなかなか大変な旅路だったが、一時間ほど時間があるのでせっかく来たのだからこのあたりのラーメン屋を開拓してみることに。
行きの新幹線の中で食べログをポチポチして気になった「中華そば こびき」さんへ向かうことに。
なにしろここの店主はもともと鳥取出身で、東京のフレンチで修行しつつ有名ラーメン店を食べ歩き、岡山でラーメン屋を開業された本格派。2021年にはビブグルマンにも選出されており、この辺りではトップクラスの超実力店なのだ。
当店の看板メニューは「煮干し」と「味噌」、双方気になるがこの日は少し肌寒く、暖かい味噌ラーメンを食べたくなったので味噌を食べることに。
洗練されたビジュアル。この美しさに一目ぼれして当店を選んだと言っても過言ではない。
地味に嬉しいのが大盛無料のサービス。迷うことなく大盛にしてもらいました。それでいて780円という良心価格。
数種類の味噌を独自にブレンド。東京の「ど・みそ」の味噌ラーメンをリスペクトしているそう。また、鶏と豚のチャーシューは「麺屋 一燈」に感銘を受けたもので、修行経験のあるフレンチの真空低温調理の技法で仕込んでいる。
甘みと旨みとコクのバランスが絶妙で、濃厚ながら後味はサッパリとしている。極めて完成度の高いラーメンだ。
北海道産の小麦を使用した自家製ストレート麺。あと地味にコーンがたまらん。
非常に大満足です。私も地方出身なので分かるのですが、地方のラーメン屋だと長らく営業している地元に愛された店や、豚骨や醤油などの「ガツンと系」が人気で、こういった繊細なバランスのラーメンはあまり評価されにくい傾向にあります。そういう意味では、こんなに美味いのにきちんと評価をされているのかと少し心配をしていましたが、開店前から行列ができており、その人気ぶりは健在でした。
また、何より謙虚でひたむきにお客さんに向き合う店主の姿は、言葉を交わさずとも素晴らしい人格がみて取れました。この店の将来が楽しみです。
ところで、隣の人が食べていた煮干しラーメンも死ぬほどうまそうだったので、また今度行ってみようかしら。トラブルで大変な一日だったが、これも何かの縁である。トラブルも悪くないものだとポジティブな気持ちにさせてくれた素晴らしいラーメンだった。