再訪記：水のや／門前仲町

素材の活かし方が天才的なイタリアンダイニング

こんにちは。早いことにもう年末ですね。皆さんにとって2022年はどんな一年だったでしょうか？

コロナもいつの間にか忘れ去られたような雰囲気になり、徐々に日常が戻りつつあるのを実感します。個人的には今年は大好きな旅行にたくさん行けたのは良かった。

というわけで、一年の締めくくりに相応しい〆のレストランを紹介します。

久しぶりにやってきました。私の大好きな「水のや」です。

以前も紹介したのですがここのマスターは料理人を地でいくような方で、あの有名な中洞牧場の乳牛や、個人的に仲良くなった鳥取県の猟師からもらった鹿の腹子など、普通は出会えない珍食材を独自ルートで仕入れ調理してくれます。

また、仕入だけでなく調理に関してもその腕はピカイチで、素材の活かし方が本当にうまい。特に野菜なんかの使い方はここを上回る店はなかなかないんじゃないでしょうか。今までミシュランをはじめ数多くの店を回ってきましたが、そう断言できるほど当店のことは前々から推しています。

本日のメニュー。このように、季節に応じて仕入れた食材をもとにメニューがその時々で変わります。さて今日はどんなメニューがあるのかと思案ながら通えるのも当店の魅力のひとつ。

おまかせコース（5,500円）を注文。

ノンアルコールスパークリングで乾杯。アルコール類は500円～、ソフトドリンクは300円～とドリンク類が安いのも当店の特徴です。ワインの品ぞろえも色々とあるようなので都度相談してみてください。

前菜一皿目：和栗のフリット。渋皮ごとフリットにし、仕上げにお塩とライ麦・珈琲パウダーを振りかけています。渋皮の強い食感と渋みが、珈琲の苦みと調和しています。見事としか言いようのないバランス感覚です。

前菜二皿目：桜エビとおから。おからがカレー風味になっており、甘みが強く弾力のある食感の残った桜エビとよく合います。当店はジャンルで言うとイタリアンではありますが、食材選びからその活かし方まで、イタリアンという枠にとらわれすぎないその発想力は本当に目を見張るものがある。

当店のスペシャリテ、秋野菜のテッリーナ。これがもう本当に絶品なので、当店にお越しの方は絶対に頼んでください。これなら野菜嫌いの方でも美味しくいただけるんじゃないでしょうか。そう力強く推せるくらいには野菜の苦みを消しながらも素材の良さを存分に活かすその技巧に驚かされます。

奥の野菜の下にぶりが隠れているのですが、これがまた弾力がありつつくさみがない。このぶりを食べるだけでも魚の下処理の上手さが伺えます。

公魚（ワカサギ）と柿のフリット。ええ、書き（牡蠣）間違いじゃあありません。前回訪問では牡蠣でしたが、今回は柿です。和栗でもそうでしたが、当店はフリットが美味い。柿のフリットなんて人生で初めて食べましたが、素直に感心させられました。トロっと軽く熟した旬の柿を揚げ、サクッとした衣の食感と塩味が、中から溢れ出る柿の甘みとフュージョンしている。

白子のグラタン。大ぶりの白子がいくつも入っています。冬にうってつけの一皿。アツアツのグラタン皿をハフハフしながら頂きました。

二杯目の葡萄ジュース。これ300円やそこらです。安すぎ。

都内唯一の農業高校「東京都立農業高校」のJKが丹精込めて育てた豚肉のロースト。普段は八万平ポークですが、今回は変わり種。こういう仕入れが当店の妙です。常連曰く「普段仕入れとる豚より美味しいがな。ワハハ」だそうです。一同笑いました。ポーションも大きく、手前のアプリコット？のソースの酸味が良い塩梅。素材の引き立て方が独創的でありながらイチイチ上手い。

〆のパスタ。かぼちゃを練り込んだニョッキです。なるほどかぼちゃの甘みが想像以上にガツンとくる、なかなかパンチのある一皿。クリームソースの濃い目の味付けとベーコンがまじで合う合う。当店にしては珍しい演出だと感じましたが、これ本当に美味しいので定番メニュー化してほしい。まあしてくれないんだろうけど。

ここまでで一旦コースは終わり。かなりの量があるので既にお腹一杯なのですが・・・、

当店はこのようにその日の仕入れ食材がボードに書かれています。テッリーナで食べたぶりが本当に美味しかったのがどうしても忘れられなかったので、「ぶりを使った何かを作って下さい」と無茶ぶり。こういった無茶ブリに快く答えてくれるのも当店の大きな魅力です。食事を作るのはマスターひとりなので、もちろん忙しさの加減をみながら良心的な範囲内で頼みましょう。