0% NON-ALCOHOL EXPERIENCE/六本木

0% NON-ALCOHOL EXPERIENCE/六本木

ノンアル新体験と宇宙空間で感じた違和感の正体

2020年7月に六本木にオープンしたばかりの前衛的なバーがある。それがここ「0% NON-ALCOHOL EXPERIENCE」だ。名前からしてタダモノでない感がすごい。駅からも非常に近いためアクセスも良い。

その名の通りこの店のドリンクはすべてノンアルコールである。また、フードはすべてヴィーガン対応となっており、多様性に配慮したバーとなっている。

生粋の下戸である私にとっては素晴らしいコンセプトであり、当店の開店情報を目にした瞬間行くことを心に決めた。ちなみに当店は予約制となっているので、予約してから行くのが良いのかもしれない。ただ、私たちのように予約なしで行った客も、席が空いていれば普通に通してもらえるのでご安心を。

開店後すぐに行ってみた。この写真は店内奥のベンチ席から見える風景です。宇宙空間をイメージして作ったそうで、今までにない完全に新しいスタイルです。店の手前側にはオレンジの色調のカウンター席もあり、既に常連のような客が店員と盛り上がっていた。

壁は全面金属製で、妙なオブジェクトが多数配置してある。そして隠し扉?の奥には個室があり、貸し切りでパーティーもできるようだ。私が伺った日はスタイルの良い美女を連れたイケイケな男性達がパーティをしていた。一応断っておくが、騒いでいるような声は全く聞こえてこないのでご安心を。

頼んだドリンクたち。

メニュー名は、「0(ゼロ)になる」。絶妙なネーミングセンスです。フレーバーウォーターにりんごやレモンなどの果物をつけ込んだアイスティーのようなドリンクです。奥の丸いボトルに丸々入って1,500円。

「キンモクセイ(1,000円)」。24時間かけて抽出したコールドブリュコーヒーを、生絞りグレープフルーツで割ったドリンクです。とてもさっぱりしたのどごしで、グレープフルーツの酸味とコーヒーの苦みやコクが良い感じにマッチしており非常に気に入りました。

お酒を飲めない人でも、バーのようなシックな雰囲気が好きな人はこの世にたくさんいます(もちろん私もそのうちの一人です)。でもやはり酒が飲めないと敷居が高く感じてしまうのはその通りなので、そういう意味では当店のコンセプト自体は非常に嬉しいのですが、下戸が求めてるのって、こういうイケイケなバーよりは、もっとシックで落ち着いた雰囲気なんじゃないかなと思ったり思わなかったり。

酒の飲めない人でも気軽に楽しめるイケイケバー」というカテゴライズをするのであれば、そういった店は私の知る限りないので、新しい試みと言えそうです。が、当店のような雰囲気を好む人種は多分酒を飲んではしゃぎたいような人達で、でも酒が飲める人は酒の飲める店に行きます。そしてそこそこお高い値段を取るのにバーテンダーはどう見ても素人のアルバイトで、最低限の清潔感と爽やかさはありますが、プレミアム感は一切ありません。

簡単に説明するために世の客を、以下の四種に分けてみましょう。

①お酒が飲めてイケイケにいきたい人
②お酒が飲めてしっぽりいきたい人
③お酒が飲めずイケイケにいきたい人
④お酒が飲めずしっぽりいきたい人

恐らく人口的には、① > ② > ④ > ③です。それを踏まえて考えてみると、

このうち、①の客はわざわざ当店に来ずクラブやキャバクラ、もっとガヤガヤしたバーや居酒屋などに行きます。たとえ当店に来たとしても、話題性につられてきた一見さんばかりでしょう。酒が飲めるのにわざわざノンアルに千円以上払うのは普通嫌がりますから、基本リピートはしません。

②の客は①ほどではないですが、一定数いると思います。仕事終わりに軽く飲みたい・一人で物思いにふけりたい・友人に相談に乗ってほしい・大人なデートで使いたい等々それなりの需要がありそうです。しかし残念ながら当店のターゲットではありません。ノンアルと聞きしっぽりできると思って来たものの、期待を裏切られて一見さんで終わるというパターンが多いでしょう。

③の人はこの四種の中で一番希少種だと思います。ワイワイしたい場合であれば基本友人などを連れて行くでしょうから、無理してでもアルコールのある店について行くか、行っても当人だけノンアルドリンクを頼むはずです。わざわざ、「イケイケのノンアルバーに行こうぜ!」とはなりにくいのではないでしょうか。仮に一人で飲みたい場合でも、です。それこそ話題性につられた一見客ばかりでしょう。

④のような、しっぽりとプレミアム感のある空間で過ごしたい客も一定数います。でも、こういう人は当店のターゲットではありません。

つまるところ、コンセプトと内装・プライシング・接客などの作り込みがアンマッチしており、対象の客層が見えてこない。そのため、ちぐはぐ感というか、違和感が最後までぬぐえず、私にはただのプロデューサーのオナニーとしか思えませんでした。

学生や若いサラリーマンが女性を口説く際に、ノンアルということで警戒心を解く的な使い方もできそうですが、値段設定がお高めなことや、独特ではあるものの全くムーディな雰囲気とは言えないため、これまたそういう目的でも使いにくそうです。

もちろんその独特なコンセプトのため目新しさや話題性で初動客はそれなりにつかめるのでしょうが、リピート客は非常に少ないんじゃないかと危惧してしまいます。私がプロデューサーであればこういう作り込みは絶対にしませんが、こういう攻めた店が世の中にできるのは、実験的な意味でも良いことでしょう。当店の成り行きを見守りたいところです。

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