丸鶴/大山

丸鶴/大山

しっとり系チャーハン入門編

「チャーハンの好みは?」と聞かれるとよくあるのが「パラパラ系が好き。」なのだが、本当にそうなのだろうか?感覚的にはパラパラ系のチャーハンが美味いのは分かるが、実はしっとり系のチャーハンにも根強い人気があり、隠れた名店が数多くあるのだ。今回はマツコの知らない世界で取り上げられた、板橋区の町中華を訪問しつくしたと語るツワモノが薦めるお店のひとつである「丸鶴」に行ってみた。

ちなみにしっとり系チャーハンの名店はなぜか板橋区に集中しているらしい。私はそのあたりの系譜に詳しくないので、歴史的な経緯があるのであればだれか教えて下さい。

この辺りは隠れたメシウマ激戦区なのでよく食べ歩きをしているのですが、特に昼間はいつも行列ができています。なんとも趣のある佇まい。

内観もザ・町中華といった感じで、店内のテレビでは出演時の番組が流れており、店主のチャーハンにかける思いなどが自然とプレゼンできる良い仕組みになっている。

ちなみに店主は城咲仁の父らしい。

町中華とはいえ、メニューは基本的にはチャーハンとラーメンのみ。セットなどもないようで、この割り切り具合、嫌いじゃない。

それにしてもどのメニューも安すぎないか?曜日限定でとんかつやから揚げなどもしているようなのですが、写真を見るとどれも特大サイズ。行列ができる理由が垣間見えた気がする。

悩んだ末に、ラーメン(600円)とチャーハン(700円)を注文。量的にきついかなと思案しながらも、匂いの誘惑に負けどちらか一方を選ぶことができませんでした。

まず着丼したのがチャーハン。店内はほぼ満席なのですが、割り切ったメニュー構成と店主の手際の良さで5分もしないうちに着丼です。

しっとり系のビジュアル、たまりませんな。まず驚いたのが、ノーマルのチャーハンなのにチャーシューがこれでもかというほど入っていること。別メニューにチャーシューチャーハンがあるのだが、そちらはいったいどれほどチャーシューが入っているのだろう?

当店の脂はラードを使用しており、ラード特有の豚の甘さというか香りが良いアクセントになっており、ねっとりとしつつも芯がありしっかりと噛み応えのある米粒が暴力的な旨さを発している。

チャーハンにはスープが付いています。こちらはラーメンのスープと恐らく同じ。

こちらはラーメン。わかめと油揚げというなんとも珍しい組み合わせだ。

まず特筆すべきはスープ。表面には油膜を張っておりかなりアツアツ。スープはキリリと立つキレのある魚介系スープで、それ単体だと普通の中華そばとは一線を画したかなり癖のある感じなのだが、わかめのダシが徐々に染み出し味がどんどん変わっていく過程が非常に楽しい。

麺は微縮れのツルツル麺。これだよ、これ。中華そばといえばこれです。

一番の驚愕ポイントがこのチャーシュー。あの恵比寿の人類みな麺類より大きく、めちゃくちゃ分厚いしジューシー。たかだか600円やそこらのラーメンにこれを乗せて果たして採算が取れるのだろうか?

ラーメンをすすり、スープと一緒にチャーハンを流し込む。背徳感満載の行為ではあるが、これがたまらないのだ。ご馳走さまでした。人気の理由が分かる素晴らしい店でした。

チャーハンの美味さもさることながら、ラーメンも捨てがたい良さを持っています。やはり腹にムチを打って次回来た際も両方頼みたいと思います。また来ます。

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