創作麺工房 鳴龍のひどすぎるオペレーション/新大塚

創作麺工房 鳴龍のひどすぎるオペレーション/新大塚

日本ラーメン史上2番目の星付きミシュラン獲得店

グルメ界には多くの人間が参照する/目標とする指標がいくつかある。そのうち最も有名なもののひとつが、皆さんもご存じ「ミシュラン・ガイド」である。

そもそもミシュラン(Michelin)と言えば、業界では非常に有名なフランスのグローバルタイヤメーカーである。皆さんもガソリンスタンドやタイヤ屋などで、タイヤでできたベイマックスのようなマスコットキャラクターを見たことがあるだろう。

なぜタイヤメーカーがグルメの指標を毎年発表しているのか。疑問に思う方もいると思うので簡単におさらいしてみよう。

ミシュラン・ガイドの起源をたどると、パリ万博が行われた1900年、自動車運転者向けのガイドブックとしてフランスで発行されたのが始まりである。その内容は、郵便局や電話の位置まで示した市街地図のほか、都市別のガソリンスタンドやホテルの一覧、さらには自動車の整備方法などで、35,000部が印刷されて無料で配布されました。ミシュランは、これにより自動車旅行が活発化し、タイヤの売上が伸びることが目論みだったんでしょう。

これがいつの間にか有料での提供になり、1926年に料理を提供するホテルを星で評価するのを始めたことがきっかけで、「ミシュラン・ガイド」が始まった。

実はホテルやレストランガイドは通称「レッド・ミシュラン」と言われ(ミシュラン・ガイドの装丁が赤色なのはこのため)、他にも「グリーン・ミシュラン」と呼ばれる旅行ガイドなども出版している。

そろそろ本題に入ろう。グルメ版ミシュランには二種類、「星付きミシュラン」と「ビブグルマン」があり、後者は基本的に5,000円以下で食べられるコスパの良い料理を提供するレストランに贈られる。

基本的にラーメンは1,000円前後なので、ビブグルマンを獲得する店は割とあるのですが、過去に日本で星付きミシュランを獲得しているのは私の把握している限り3店しかありません。巣鴨の「Japanese soba noodle 蔦」、新大塚の「創作麺工房 鳴龍」、新宿御苑の「Sobahouse 金色不如帰」だ。

今回訪問するのはそのうちの一店、「創作麺工房 鳴龍」です。わくわく感を胸に抱きながら私は新大塚に向かった。

並びはすさまじく、開店時間である平日の18時ジャストに伺ったのだが既に二巡目。冬の寒さにも関わらず後ろにはあれよあれよという間に行列ができ、気付けば(推定)30人は並んでいました。さすが人気店です。

メニューを見る限り、かなりサイドが豊富です。ワンタンとか美味そうだし、醤油や塩も気になるが、一人で来ると基本一杯しか食べられないのが辛い。たまに二杯食べるけど…。

麻辣担々麺(950円)をチョイス。店内は割と外国の客が多く、中国・韓国人が多数でした。ミシュラン一つ星獲得店だけあって、内装は格式高い感じがします。

どアップ。見るからにめちゃ辛そうだが…

スープは醤油ベースで、花椒や唐辛子を用いたスパイス、辣油などがたっぷり。日本の担々麺といえば胡麻ベースのものが多いイメージですが、当店のそれは醤油とスパイスを用いた本格派の担々麺です。

挽肉なども入っており、言うなればスパイスの効いた台湾ラーメンのような風味も感じられます。捉え方によって様々な解釈ができる、まさに奥の深い一杯です。

ちなみにめちゃくちゃ辛そうに見えますが思ったより辛くありません。私の辛さ耐性は並程度ですが、美味すぎて普通にスープも半分くらい飲めました。

麺は細めのストレート麺です。スープとの相性が凄まじく良く、まさに計算され尽くされた麺です。

替え玉。麺には辣油とスパイスらしきものがかかっています。

まじで美味しかった。単純に味だけで競えば担々麺界ではやはりトップクラスです。醤油も美味しいらしいので伺ってみたいのですが、せっかくここに来たのなら…とまた担々麺を頼んでしまいそうな自分が憎い。酒とつまみを頼んでラーメンで〆る的な使い方もできて酒飲みには最高でしょう。

ただ、一点だけどうしても残念なことがあった。

オペレーションの意識が著しく低いのか、2巡目で並んだ私が入店したのは、開店後1巡目の客が入ってからなんと50分後である。つまり1巡目の客を処理するのに50分もかけたわけである。そしてそこから着丼までさらに15分程待ったので、トータルの待ち時間は1時間ちょっとと凄まじい有様だ。もちろん客が頼んだメニュー数がたまたま多かったり一巡目だったりで、回転時間はかなり左右されるとは思うが…。私は過去沢山の有名ラーメン店に通ってきたが、トップクラスに長い方だと思う。

以前究極のオペレーション力「はやし田」でも熱弁した通り、オペレーションは外食の肝である。

メニュー数も豊富でそれなりに客単価はあるのであろうが、さすがに回転への意識がなさすぎるんじゃないか。私の後ろに並んでおられた方は、「すみません、あまりにも遅いので帰ります。もう一生来ないですね(笑)」と私に告げ帰路に着いた。こういう方は非常にたくさんいるんじゃないでしょうか。まあ、ミシュランともなるとその話題性から多くの客が来ますし、待ち時間も多少長くても我慢は付くのでしょうが、機会損失が非常にもったいない。

こんなにも味は素晴らしいのに、少し意識するだけでかなり変わりそうだが、もったいない限りである。

どうかオペレーションが改善され、長く繁栄することを祈っています。

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