カラシビ味噌らー麺 鬼金棒/池袋

カラシビ味噌らー麺 鬼金棒/池袋

池袋で一番のラーメン屋

池袋は東口の数多の飲食店がひしめく一角にひときわ行列の長いラーメン屋がある。それが「カラシビ味噌らー麺 鬼金棒(きかんぼう)」だ。このあたりはラーメン、いや、B級グルメ激戦区となっており、近くには蒙古タンメン中本花田、少し歩けば二郎など多くの人気店が軒を連ねている。その中でも当店の並びは別格だ。私はよくこの辺りを通るのだが、コロナ前はもちろん、コロナ禍に入ってからもその行列はとどまることを知らず、店が開いている時間は常に人が並んでいるのだ。

私はずっと疑問に思っていた。果たしてそんなに並ぶほどおいしいラーメンなのだろうかと。すぐ真隣りにある「油そば 鬼」も普通にめちゃ美味しいのに皆なぜそちらに行かないんだろうと。反骨精神が日に日に助長してしまった私はいつのまにか当店を避け「油そば 鬼」のヘビーユーザーになってしまっていた。

ちなみに「油そば 鬼」は逆にいつみても空いています。名前も似ているし系列なのだろうか?それにしてもこんな行列店のすぐ真隣りに作るなんて勇気いるよなあ。その人気にあやかろうとしたんだと思いますが、いつも空いている印象が刷り込まれてしまい完全に裏目に出てしまっている感。普通に美味しいのでぜひ行ってみて欲しい。

だが本日の私は一味違う。辛い味噌ラーメンが無性に食べたくなり、今まで積み重ねてきたバイアスを覆し意を決してその行列に挑むことにした。ただ、さすがに何時間も並びたくはないので、繁盛する時間をずらして21時前に伺った。

しかし、閉店一時間前にもかかわらず並びは13人もいた。仕方なく列に並び30分待って入店。

辛さと痺れを選択できる。私はオーソドックスなカラシビ味噌らー麺(980円)に両方普通を注文。

驚くべきはその価格設定である。一番オーソドックスなメニューが980円から始まり、特製ラーメンは1,330円、チャーシュー麺に関しては1,700円とまさにラーメン界の価格破壊である。足許の物価高が反映されている稀有なラーメン屋だ。もちろん一番すごいのは、それだけの強気価格でも常に行列が絶えていない当店の実力である。

入店と同時に氷だけ入ったグラスを渡され、目の前にある蛇口から自分で水を汲む楽チン設計。すぐ目の前でトロトロチャーシューを切っており食欲が暴発しそうだ。

店内には鬼のお面が数多く飾ってあり、かかっている音楽も和太鼓の鬼を想像させるようなもの。こだわりが凄い。客層はサラリーマンはもちろん、特筆すべきはその女性の多さである。カップルも非常に多い。

着席しほどなくして着丼。…ん?なんかめちゃくちゃ美味そうじゃないか?

ニラ・ヤングコーン・たっぷりもやし。味噌と野菜ってことは健康にも良いんだなあ(錯覚)。

もやしの炒め具合が絶妙で、芯が微妙に残っている。だいたいこういうラーメン屋って炒め具合にこだわりがなく、行く度に雰囲気の変わる再現性の無い店が多いのですが、当店はそのあたりにもこだわっているのでしょう。ラーメンへの期待がどんどん高まります。

とろとろに煮込んだ角煮チャーシュー。

スープを一口飲んでびっくり。めちゃくちゃ美味いやないか!

てっきり資本の香りがするB級ラーメン的なそれだと思い込んでいましたが、きちんとした本格味噌ラーメンです。「三ん寅」や「桑名」、名古屋の「ふくろう」なんかとはまた一味違う、どちらかというと同じ池袋にある「茜ノ舞」に近いような、濃厚系こってり味噌です。しかも、辛さと味噌が一体化しており絶妙なバランスで成り立っている。山椒の痺れと唐辛子の辛さも味噌の旨味を引き出すよう設計されており、なんだこれ、めちゃくちゃうまいぞ。

ちなみに辛さ・痺れは普通にしたのですが、結構来ます。苦手な人は少なめにしても良いかもしれません。ただ、この辛さと痺れと味噌の素晴らしいバランスを感じて欲しいので、抜くのは少々もったいないかもしれません。なくても美味しいとは思いますが。

麺は自家製麺なのだろうか?不揃いでたまに太さにばらつきがあるのですが、それがまた良い。スープとの絡みも良く、こちらも良く考え抜かれています。

完飲した者のみが辿り着ける境地、「カラシビ」。あまりの美味さについうっかりスープを飲み干してしまいました。

完全に当店のことを誤解していました。こんだけウマいなら行列が絶えないのも大納得。リピート客もさぞかし多いのでしょう。かくゆう私もこれは定期的にリピってしまいそうです。

これを食べると尚更「油そば 鬼」は真隣に作ったんだろうと疑問に思ってしまいます。他の場所に作れば普通に行列ができる店になってもおかしくない独特な魅力・実力はあると思うのですが、いかんせん隣のラーメン屋が魅力的過ぎたのでしょう。今すぐでも移転再オープンすべきです。まあ、こんな私の声何て届かないでしょうが。イチファンからの切ない要望です。

食べログのリンクはこちら

Google Mapのリンクはこちら