誠十郎/倉吉
鳥取県倉吉市一番の鮨屋で候
仕事の予定で鳥取県は倉吉にやってきたのだが、せっかく来たからには何か牛骨ラーメン以外のものも食べてみたい。地方の食べログ評価ほどアテにならないものはないので、土地勘がない私には地元の名店など探しようもない。そういう時に度々お世話になるのがタクシーのおじさんだ。
今回は倉吉で一番うまい鮨屋を教えていただいた。
それがここ誠十郎だ。駅から歩いて10分程と、車社会にしては神がかった立地である。今回は同僚と伺ったのだが、提供するのはコースのみで5,000円~9,000円(税抜)で千円単位で選択できます。
先付はかぼちゃの煮つけ。ほっくらと優しい甘みが特徴的で、秋の入口にピッタリの一皿でした。
刺身の盛り合わせ。しまあじ・ホタテ・ニジマス・カンパチ・タイの五種。どれも鮮度良くクサみもないため食べやすい。さすが日本海に面する県なだけあるなあ。それにしても白身魚多めで赤身がないのも珍しいなあと思っていたら…
マグロのヅケが出てきました。こちらのヅケは醤油の染み具合が神がかっており、ねっとりとした濃厚な歯ごたえと、絶妙な漬け具合がたまりませんでした。まさかこんな田舎でこんなに素晴らしいヅケと出会えるとは思っていなかった。文句なしで本日一番のお皿です。家に常備しておきたいし、これだけのために当店に通い詰めたいレベル。
あと付け合わせのわさび菜がたまらなく美味かった。連れの日本酒が進んでおります。当店は日本酒の品ぞろえも豊富で、こんなのが飲みたいと言えばだいたいなんでも用意してくれます。
あわびとバイ貝。優しく煮付けてあり、素材本来の味わいを残しつつ、西日本ならでは?の薄口のダシのほっこりとした奥深い味わいが口の中に広がります。
ここで出てきたのがなんとノドグロの煮つけ。一尾丸ごと煮つけたものを、連れと半分にして提供するスタイル。連れが尾の方を食べたいと言うので私は頭の方を。サイズ感も恐らく500gは下らないであろう大きなノドグロで、東京で出てきたらこれだけで4~5千円は取られそうな代物です。
個人的にはノドグロのような脂の美味しい魚は焼きで食べるのが好みですが、煮付けも美味しいですねえ。予約は連れに任せていたので、この辺りでお会計がいくらになるんだろうと冷や冷やし始めます。
タイとカンパチの握り。新鮮で美味しい素材と堅実な仕事ぶりが垣間見えます。
茶碗蒸しを挟んで、
ニジマスとしまあじの握り。
皆さんはお気づきだろうか?刺し盛と同じラインナップを握りでも用意するという粋なおもてなしに。お店の方から特に説明はありませんでしたが、こういう演出も悪くないですねえ。欲を言えば別のネタを食べたかった気持ちもありますが、土地柄的に客数もべらぼうに多いわけでなく、仕入れたネタをきちんと使い切るためにも必要な演出なのでしょう。
鯖寿司。こちらは特大サイズです。
ノドグロの炙り。
うなきゅう巻き。
マグロと鉄火巻き。
思った以上のボリューム感だったので既にお腹一杯。友人はそれなりに日本酒を飲んでおりお会計が心配でしたが、なんと一人1万円ぽっきり。お酒抜きなら7~8千円といったところでしょうか。夜の席かつこれだけのラインナップでこのお値段は破格でしょう。握りに関しては感動するような域にまでは達してはいなかったですが、素直に美味しい食材と堅実な仕事ぶりから、実直な大将の姿が垣間見えました。
せっかくなので今度は9,000円のフルコースを食べてみたいなあ。あと欲をいえば鳥取の特産品である蟹を食べてみたい。ということで今度は冬にやってきて一番高いコースを頼んでみようと思います。
こんなド田舎でこんなにも素晴らしい店に出会えるとは思っていなかった。特に当店のマグロのヅケは鳥取の永久欠番です。また来ます。